実施報告

開催日: 2022年12月6日

第30回 中野香織氏 新しいラグジュアリーが生み出す文化と経済

投稿日:2022.11.14 カテゴリー:実施報告

講師 中野香織(なかの かおり)氏 服飾史家(独立研究者)/作家。

【略歴】

イギリス文化~スーツおよびダンディズム史~ファッション史およびモード事情~英国王室スタイル~ラグジュアリー領域へと関心を広げてきた。現在は「新しいラグジュアリー」を中心に著述、講演、コンサルティング。経産省ファッション未来委員会委員。文部科学省「価値創造人材育成拠点の形成事業」採択プログラム「京都クリエイティブ・アッサンブラージュ」専門家講師。日本経済新聞、Forbes JAPAN、北日本新聞、LEONなど多媒体で連載中。著書は『新・ラグジュアリー 文化が生み出す経済10の講義』(安西洋之氏との共著、クロスメディア・パブリッシング)、「『イノベーター』で読むアパレル全史」(日本実業出版社)、「ロイヤルスタイル 英国王室ファッション史」(吉川弘文館)、『モードとエロスと資本』(集英社新書)、『ダンディズムの系譜 男が憧れた男たち』(新潮選書)ほか多数。

東京大学文学部・教養学部卒、東京大学大学院博士課程短期取得満期退学、英国ケンブリッジ大学客員研究員、明治大学国際日本学部特任教授(2008~2018)、昭和女子大学客員教授(2018~2021)を務めた。

【概要】

ラグジュアリー領域は、炭鉱のカナリヤのごとく、まっさきに社会の変化に反応します。また、ラグジュアリーは社会変革をもたらす力を発揮します。たとえば、1960年代、「人類の夢」のプロジェクト=当時のラグジュアリーであった宇宙開発では、黒人や女性といった当時のマイノリティも能力があれば起用されました。結果として差別のない社会へと改革が進みましたし、断熱材、カメラ付き携帯、フリーズドライ製品などが開発されたことにより、一般社会にも宇宙開発の恩恵が及びました。ラグジュアリーの動きを知っておくことは、近未来社会の予測につながるのです。

 現在、140兆円を超えるビジネスをヨーロッパ中心の価値観で行っているラグジュアリー産業は、ここ30年ほどで発達したビジネスにすぎず、グローバル資本主義の限界とともに、一部、肥大化を起こしています。これからの社会を創っていくのは、ヨーロッパ以外の地域から出てくる「新しいラグジュアリー」です。今まさに起きているラグジュアリーの意味の変化とそこから生み出される新しい文化と経済を、ラグジュアリーの歴史を踏まえたうえで、最新の取材成果を交えて解説します。