【 第9回 】
「社会的共通資本と工学:金融市場分析の新たなフレームワークの可能性」
2020年6月23日(火)19:00 オンライン開催
講師:山本 修氏(ユニゾン・キャピタル株式会社 パートナー、EMP修了生/EMP講師)
【 講師略歴 】
三和銀行、マッキンゼーを経て 2001 年にユニゾン・キャピタルに参画。日本におけるプライベート・エクイティ業務の先駆者として理論・実務の確立に向けて活動中。また、ASEAN 及びインドにおける社会起業家の活動に注目し、日本の投資家とこれらの投資機会を結びつける活動を展開中。
実務家としての経験をもとに「財務危機処理の経済分析と我が国倒産法制の評価」(『経営財務研究』第23巻第2号)、「財務危機企業のパフォーマンスとメインバンクの役割」(『経営財務研究』第24巻第1号)、「イノベーション創出システムの再設計」(『一橋ビジネスレビュー』59巻1号) 等の学術論文を発表している。東大EMP第14期生。東大EMP講師。東京工業大学非常勤講師。慶應義塾大学経済学部卒、University of Chicago Graduate School of Business卒(MBA)、東京工業大学大学院社会理工学研究科経営工学博士課程終了(学術博士)。
【 概要 】
COVID-19による実態経済への影響が深刻化するなかで、株式市場を中心とする金融市場は3月の乱高下ののちは小康状態を保っている。2010年、当時ECB(European Central Bank)の総裁であったJean-Claude Trichetは中央銀行が依拠している経済理論とツールの限界を認めた上で、物理学や工学からの知見を求めるスピーチを行った。中央銀行は「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資する(日本銀行法第2条)」ことを目的とする重要な社会的共通資本である。本講演では、Jean-Claude Trichetの「要請」の背景と、中央銀行の役割を概観したのちに、学際的アプローチによる「不均衡動学(nonequilibrium dynamic asset pricing model)」としての金融市場分析の新たなフレームワークの可能性を議論してみたい。