【 第12回 】
「クラシック音楽とは何なのか?」(全3回)
クラシック音楽と西洋近代 - 集中型社会の夢と終わり
2020年8月18日(火)19:00 オンライン開催
講師:岡田 暁生先生 (京都大学人文科学研究所教授)
【 講師略歴 】
1960年京都生まれ。大阪大学文学部博士課程単位取得退学。ミュンヘン大学およびフライブルク大学で音楽学を学ぶ。現在京都大学人文科学研究所教授。文学博士。著書『音楽の聴き方』(中公新書、2009年、吉田秀和賞受賞、2009年度新書大賞第三位)、『ピアニストになりたい - 19世紀 もう一つの音楽史』(春秋社、2008年、芸術選奨新人賞)、『恋愛哲学者モーツァルト』(新潮選書、2008年)、『西洋音楽史 - クラシックの黄昏』(中公新書、2005年/韓国版:2009年/中国版:2016・19年)、『オペラの運命』(中公新書、2001年、サントリー学芸賞受賞)、『すごいジャズには理由がある』(アルテス、2016年)、『音楽と出会う』(世界思想社、2019年)など。『スコラ 坂本龍一 音楽の学校』(NHK)や『名曲探偵アマデウス』(NHK・BS)など、テレビ出演多数。コロナ禍を受け『音楽の危機』(中公新書)を9月に刊行予定。
【 概要 】
わたしたちが「音楽」と口にするとき、それはほぼ例外なく「クラシック音楽」のことです。「いや、オレはベートーヴェンなんて聞いたこともない、好きなのは演歌だ」という人も多いでしょう。ですが演歌も昭和歌謡も、そしてポップスもロックもジャズも、すべてクラシック音楽の文法によって作られた音楽であるという意味で、実は西洋クラシックの末裔なのです。この講座は、ただ大作曲家の名前を羅列して「教養としてのクラシック」とするものではありません。むしろ「クラシック音楽っていったい何なの?」という存在論的な問いを通して、そこに刻印されている西洋的合理主義の思考回路 - 科学であれ経済であれ政治であれ、わたしたちが日々それでもってものを考え、それでもって発信することを余儀なくされている回路 - そのものに批判的に迫りたいと考えます。