【概要】
コンサートで私たちは、練習を積み完成された演奏を「拝聴」します。しかし拝聴とは退屈と紙一重でもあります。わいわいと皆で作品について談義をすることは、「完成された演奏の拝聴」よりはるかに身近に音楽作品を感じることの出来る瞬間でもあります。練習や予習やレッスンは本番より楽しかったりするのです。今回は山田和樹氏による11月17日の駒Ⅱ音楽祭におけるマスタークラスを念頭に起きつつ,ブラームスのピアノ協奏曲第二番(3楽章)とラヴェルの『ラ・ヴァルス』を例に「音楽を予習する楽しさ」についてお話ししたいと思います。
【ご略歴】
1960年京都生まれ。大阪大学文学部博士課程単位取得退学。ミュンヘン大学およびフライブルク大学で音楽学を学ぶ。現在京都大学人文科学研究所教授。文学博士。著書『音楽の聴き方』(中公新書、2009年、吉田秀和賞受賞、2009年度新書大賞第三位)、『ピアニストになりたい - 19世紀 もう一つの音楽史』(春秋社、2008年、芸術選奨新人賞)、『恋愛哲学者モーツァルト』(新潮選書、2008年)、『西洋音楽史 - クラシックの黄昏』(中公新書、2005年/韓国版:2009年/中国版:2016・19年)、『オペラの運命』(中公新書、2001年、サントリー学芸賞受賞)、『すごいジャズには理由がある』(アルテス、2016年)など。『スコラ 坂本龍一 音楽の学校』(NHK)や『名曲探偵アマデウス』(NHK・BS)など、テレビ出演多数。コロナ禍を受け執筆された『音楽の危機』(中公新書)が小林秀雄賞を受賞。近刊『ごまかさないクラシック音楽』(2023年:片山杜秀氏と共著)が話題を呼んだ。