【講師・テーマ】
隠岐さや香先生
東京大学大学院教育学研究科教授
【概要】
17-18世紀の西欧には「技術」(technology)や「工学」(engineering science)に相当する言葉はまだ存在せず、芸術と職人技芸は共に「アーツ(arts)」の語でくくられていました。そして、科学と芸術の担い手のみが先に王立のアカデミーに包摂され、職人たちを取り残す形で社会的地位の上昇を始めていました。その一方で、為政者は学者に対しては、しばしば「有用な科学」を求めました。この講演では「有用さ」を求められながら揺れ動いた科学とアーツの境界について歴史的視点から考察します。
【ご略歴】
1975年、東京生まれ。東京大学大学院教育学研究科教授・東京大学多様性包摂共創センター(IncluDE)副センター長。東京大学大学院総合文化研究科・博士(学術)。専門は科学史。大学やアカデミーの歴史、「学問の自由」の思想史、イノベーションの概念史など。日本学術会議連携会員。国際学術会議(ISC)科学の自由と責任委員会(CFRS)委員。著書に『科学アカデミーと「有用な科学」—フォントネルの夢からコンドルセのユートピアへ—』(名古屋大学出版会、2011、サントリー学芸賞受賞)、『文系と理系はなぜ分かれたか』(星海社出版、2018、新書大賞2位)、共著に『「役に立たない」研究の未来』(柏書房、2021)、『コ・プロダクション実践ガイド』(東京大学出版会、2025年)、『フランス・アカデミーの時代』(名古屋大学出版会、2026)など。